このページでは、総合技術監理部門を除く技術部門の「受験申込書」と「実務経験申込書」の対策について案内します。
受験申込書は、口頭試験の審査資料として使用されます。そのため、口頭試験を意識して記載するのがベストです。
ただし、受験申込時には「技術士としての考え方」が完璧ではありません。「技術士としての考え方」は筆記試験を通じて勉強します。
そのため、受験申込時の段階では、このページに記載した内容を注意しつつ、納得した段階で作成を切り上げ、筆記試験の勉強に重点を置きましょう。
(どんなに完璧に仕上げても、口頭試験時に、もっとこう書いておけばよかった、と必ず後悔します)
受験申込書の注意点
氏名、生年月日、住所などを記載します。当然のことながら、誤字脱字には十分に注意してください。
実務経験証明書や筆記試験などで、どんなに素晴らしい内容を記述しても、誤字脱字があれば、印象が悪くなります。何度も何度も見直しましょう。
技術部門
機械部門、電気電子部門、建設部門などのことです。
総合技術監理部門を受験する人は、「総合技術監理部門」になります。選択科目は「技術部門 - 選択科目」を記載します。
実務経験証明書に記載した内容と大幅に違う技術部門を記載した場合、口頭試験で「部門が違うんじゃないの?」と指摘されます。
(自身の技術分野ぐらい間違えないよ、と思う方もいると思いますが、過去に部門の違いを指摘され、きちっと答えられなかったので不合格になった事例もあります)
専門とする事項
ここに記載した内容に近い専門分野の人が試験官に選ばれます。
基本的に「選択科目の内容」から選んで記載します。しかし、ここに記載されていない表現でもOKです。
ただし、あまりに長い内容を記載するのはNGです。
理由は2つあります。
<理由その①>
筆記試験の答案用紙にも、専門とする事項を記載します。そして、その記載は、「試験開始」の合図があった後に記載します。
つまり、専門とする事項を記載するのは、試験時間にカウントされます。あまりに長い内容ですと、試験時間のロスに繋がります。
(たった数秒じゃん、と思うかもしれませんが、筆記試験は時間との勝負です。数秒も無駄にできません)
<理由その②>
口頭試験のときにも、専門とする事項を話すことになります。
大抵の人は、口頭試験に緊張すると思います。そのような中で、長い内容だと噛んでしまい、余計に緊張度が増します。
このような懸念材料を取り除く意味でも、専門とする事項は短いほうがいいでしょう。
また、「専門とする事項」は、「業務内容の詳細」と一致させてください。
専門とする事項以外の内容を業務内容の詳細に記載すると、その理由を質問され、口頭試験時に苦戦します。
ポイント
・誤字脱字は十分に注意しよう
・専門とする事項は、短く簡潔に書こう
・専門とする事項は、業務内容の詳細と一致させよう
実務経験証明書
大学院の記載
学校教育法における大学院修士課程(理系系統のものに限る。)若しくは専門職学位課程(理系系統のものに限る。)を修了し、又は博士課程(理系系統のものに限る。)に在学し、若しくは在学していた者にあっては、2年を限度として、当該期間からその在学した期間を減じた期間とすることができます。
社会人での業務経験年数が足りている人は記載しなくてOKです。
大学院の研究内容と社会人での業務経験が大幅に違う人は、口頭試験で聞かれる可能性があります。
合否の判断材料にはなりませんが、余計な懸念材料をなくすためにも、業務経験年数が足りている方は書かない方がいいでしょう。
業務経歴(5行)
受験資格
従事期間の合計が、受験資格を満たしていることを確認しましょう。
なお、経歴が連続していなくても問題ありません。
経路①
技術士補として、4年を超える期間、技術士を補助する。
経路②
科学技術に関する業務※に7年を超える期間従事している監督者(勤務先の上司など)の下で、当該業務に4年を超える期間従事する。
経路③
科学技術に関する業務※に7年を超える期間従事する。 (修習技術者となる前の期間も含む。監督者の有無は問わない。)
※科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価(補助的業務を除く。)又はこれらに関する指導の業務のことをいいます。
総合技術監理部門を受験する場合の業務経験は、経路①〜③に示した期間に更に3年が必要になります。
地位・職名
受験申込書には「地位・職名」と記載されていますが、「代表取締役社長」、「部長」、「課長」などの役職名はNGです。
役職名では、その業務にどのような立場で関わったのかわからないからです。
この地位・職名では、その業務で、どのような役割だったのか、どのような地位にいたのかを記載します。
例:技術員、設計者、研究者、分析責任者、主席研究者、技師、主任技術者、主任技師など
業務内容
「専門とする事項」との整合性
記載する内容
5行すべてに、技術士にふさわしい業務を記載します。
技術士の業務は、技術士法2条より、科学技術に関する高等の専門的応用能力を必要とする事項についての、計画、研究、設計、分析、試験、評価及びこれらに関する指導の業務です。
これらのキーワードは必ず入れて記載します。
例
〇〇のネットワーク化に関する計画及び設計
〇〇による✗✗の改良研究
〇〇の施工計画及び性能評価
〇〇における✗✗の分析・評価
○○における基本設計及び技術的指導
など
※指導を入れる場合は、計画、研究、設計、分析、試験、評価とセットで入れるようにします。
また、調査、検討、積算、施工などは「技術士」の業務ではありません。表現方法にも注意しましょう。
例:
〇〇の調査 → 〇〇調査結果の分析
〇〇の検討 → 〇〇計画
〇〇の施工 → 〇〇の施工計画
など
業務内容の詳細
業務経歴から1つを選択して、その業務の詳細を720字以内で記載します。
口頭試験の重要な審査ポイントになります。
業務内容の詳細は非常に重要なため、別のページにまとめています。
ポイント
・従事期間の合計が、受験資格を満たしていることを確認しよう。
・地位、職名は、どのような役割だったのか、どのような地位にいたのかを記載しよう。
・業務内容は、専門とする事項、科学技術に関する業務を記載しよう。
・計画、研究、設計、分析、試験、評価、指導の文言を入れよう。
・業務内容の詳細は、十分に対策をしよう。
業務経歴の整理方法
私が実践した業務経歴の整理方法を紹介します。
業務の棚卸し
入社してから現在までのすべての業務を棚卸しします。以下の表を作成して整理するといいでしょう。
事例はサンプルです。
業務名 | 概要 | 立場・役割 | 課題 | 問題点 | 解決策 | 成果・展望・弱点 |
---|---|---|---|---|---|---|
〇〇に関する設計 | ○○に伴う××の設計を行った。 工期は○年○月〜✗年✗月 | 設計者 | 景観法に配慮した設計が必要 | 従来の方法ではコストが大幅に増大 | ○○を提案。 ✗✗することにより、コスト低減 | ○%のコスト低減 同様の手法を他の設計にも展開可能 設計手法の標準化 |
✗✗に関する計画及びその調査 | ○○実施に伴う計画策定、基礎調査工期は○年○月〜✗年✗月 | 計画統括者 | 迅速な調査と○○の計画策定 | ✗✗により調査困難箇所が多発。従来より大幅に時間を要する。 | 〇〇を提案。 ○○を提案。 ✗✗することにより、調査時間を短縮 | ○日間の調査時間短縮 さらに✗✗すれば、○日間の調査時間短縮が見込めた |
業務内容の詳細に記述する内容を選択
STEP1で整理した表から、業務内容の詳細に記述する業務を選びます。
下記の内容を基準に、業務内容の詳細に記述る内容を選ぶといいでしょう。
・できるだけ直近の業務
・課題、問題点、解決策が明確であり、定量的な評価が可能
文字数を気にせず、業務内容の詳細を記述する
まずは720字にとらわれず、業務内容の詳細を記述してみましょう。
最初から文字数を気にしていると、一貫性のない論文になってしまいます。
業務内容の詳細の書き方は下記のページにまとめています。
720字以内にまとめる
720字以内におさまるよう、添削していきます。
・不要な語句の削除
・簡潔な表現方法に変更
・同じ言い回しをしている箇所はないか?
どうしても、720字以内にならない場合、「今後の展望」は削除しましょう。口頭試験で答えられるようにすればOKです。
他人に添削してもらう
セミナーの講師、会社の上司・同僚・後輩、家族などに見せて添削してもらいましょう。
1回限りの添削ではなく、何度も何度も納得するまで添削してもらいます。
現在は準備中ですが、著者も添削サービスを実施予定です。
ポイント
・入社後から現在までの業務の棚卸しをしよう。
・業務内容の詳細に記述する内容を選択しよう。
・まずは文字数を気にせずに、業務内容の詳細を記述しよう。
・ある程度完成したら、720字以内におさめよう。
・他人に添削してもらおう