概要
正極活物質として空気中の酸素、負極活物質としてLiやMgなどの金属を用いた電池のことをいいます。
原理
充電時
負極側
Li++e-→Li
正極側
4OH-→O2+2H2O+4e-
放電時
負極側
Li→Li++e-
正極側
O2+2H2O+4e-→4OH-
特徴
①電池容器内に正極活物質を充填する必要がない為、LiBに比べてエネルギー密度が高い。
(LiBは約360Wh/kg、空気電池は約5200Wh/kg)
②電解液として、水にアルカリ性の金属水酸化物を溶かしたものであるため、物理的に発火する危険がない。
③正極は空気を取り入れるため、構造が複雑になる。
課題・問題点・解決策
耐久性の向上
問題点
アルカリ性の電解液は空気中の二酸化炭素に触れると反応して劣化してしまう。
空気電池は大気中の酸素を活用するため密閉することができない。
解決策
酸素を透過しつつ二酸化炭素を通さない膜の開発
性能の安定化
問題点
正極が常に空気に触れているため、湿度や二酸化炭素濃度、温度などの影響を受けやすい
解決策
電池構造の最適化(空気の取り込み量と電解液が乾燥しないようにするための最適化)
充電効率の向上
問題点
空気極に使用している炭素材料が酸化消耗してしまう。
解決策
耐酸化性触媒の添加:酸化防止策として、鉄-アルミニウム合金やセラミックなどを添加する。
今後の展望
LiBの性能向上が限界を迎える中で、実用的な電気自動車のエネルギー源として、空気電池は数少ない有望株の一つである。
大容量で高出力、かつ環境負荷の少ない蓄電池が実用化されれば、自然エネルギーによる発電設備の蓄電設備としても役立つ。