概要
電源の脱炭素化とは、電力の生産と供給において二酸化炭素や他の温室効果ガスの排出を減らすことを指します。
脱炭素化は、気候変動対策や持続可能なエネルギーの推進といった目的を達成するために行われます。
手法
再生可能エネルギーの利用
太陽光や風力などの再生可能エネルギー源を利用した発電が増えています。これらのエネルギー源は二酸化炭素を排出せず、持続可能な電力供給が可能です。
核エネルギーの利用
核融合や核分裂などの核エネルギー技術は、二酸化炭素を排出せずに大量の電力を供給することができます。
しかし、核エネルギーには安全性や廃棄物管理の課題があります。
エネルギー効率の向上
発電所や送電網の効率を改善することにより、同じ電力需要を満たすために必要な燃料の量を減らすことができます。
発電所や向上のエネルギー効率の改善
高効率な発電機や機器の導入、熱の再利用などを通じて、エネルギーの無駄を減らし効率を向上させます。
建物や家電の省エネルギー化
施設や家庭でのエネルギー使用効率を向上させるため、断熱材の導入、省エネルギー家電の利用などが行われます。
カーボンキャプチャー
二酸化炭素を排出する発電所などから直接二酸化炭素を回収し、地下に貯留する技術です。
これによって、排出される二酸化炭素の量を減らすことができます。
吸収法
化学的吸収法
二酸化炭素を吸収剤(アミンやカルボネートなど)に接触させ、二酸化炭素が吸収される反応を利用します。
吸収された二酸化炭素は再度分離され、回収されます。
物理的吸収法
二酸化炭素を液体または固体吸収材(ソルベント)に吸着させることで回収します。
吸収材としては、アミンやゼオライトなどが使用されます。
圧縮法
カーボンキャプチャー後の二酸化炭素を圧縮して液体または高濃度のガスとして保存します。
圧縮により体積を減らし、貯留や輸送の効率を向上させます。
貯留法
地下貯留
地下の地層に二酸化炭素を注入し、地層内に封じ込めます。
適切な地層は、浸透性が低く二酸化炭素が漏れ出さないような特性を持つものが選ばれます。
海洋貯留
二酸化炭素を海洋に注入し、海洋中に分散させる方法です。
しかし、海洋生態系への影響や海洋酸性化のリスクなどに対する注意が必要です。
今後の課題
安定性の確保
再生可能エネルギーの大規模導入に伴い、電力供給の可変性と安定性が重要な課題となります。
太陽光や風力は気候条件に左右されるため、供給の不安定さが問題となる場合があります。
安定した電力供給を確保するために、エネルギー貯蔵技術や電力網のインフラストラクチャーの改善が必要です。
電力網の拡張
再生可能エネルギーの増加に伴い、既存の電力網(グリッド)は新たな要件に対応する必要があります。
エネルギーの送電や受け入れ能力の向上、スマートグリッドの導入、分散型エネルギー資源の統合などが求められます。
また、地域ごとの電力需要と供給のバランスを調整するための地域間の連携も重要です。
コスト削減
再生可能エネルギー技術の進化とコスト削減が必要です。
太陽光や風力発電の効率向上、エネルギー貯蔵技術の開発、低コストの製造・設置方法の開発などが重要な課題です。
さらに、水素エネルギーや地熱エネルギーなどの新たなクリーンエネルギー技術の普及も促進する必要があります。
関連白書
エネルギー白書2022 第2節 脱炭素実現に向けた日本の対応
令和4年度版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書 概要