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(技術士キーワード)赤外線センサ

2022年12月29日

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概要

 赤外線(波長:0.7μm〜1mm)の広い波長域の電磁波を利用した方式をいいます。

 民生分野や工業分野では、数十μmまでの波長域で利用されており、0.9〜1.7μm帯(SWIR)、3〜5μm帯(MWIR)、7〜14μm帯(LWIR)の3つが特に重要な波長帯です。

種類

量子形

 光子と半導体内のキャリアの相互作用を利用して光を検出する方式。

 一般的に動作温度が低いため、十分に低い温度に冷却する必要がある。

 熱形に比べて感度が高く、応答速度も優れている。

真正形

 光子吸収による価電子帯と伝導帯間での電子ー正孔対の生成により光を吸収するメカニズムで動作する。

外因性形

 不純物準位から伝導帯や価電子帯へのキャリアの励起を利用する。

量子井戸形

 超格子構造の伝導帯に形成された井戸に束縛された電子を光で励起することで光検出する。

内部電子放出形

 伝導帯内の電子、または価電子帯の正孔が光子エネルギーを得て高いエネルギー状態になることを利用して赤外線をセンシングする。

光導電形

 光吸収によって変化したキャリア密度を抵抗変化として検出する。

 真正形、外因性形、量子井戸形の光導電形赤外線センサが開発されている。

光起電力形

 半導体内部に存在する電界によって赤外線により生成された電子ー正孔対を分離して起電力を得る。

 真正形、内部光電子放出形で実現することができる。

熱形

 光エネルギーを吸収することによって変化する検出器の温度を、温度センサで計測することにより、光を検出する方式。

 センサ1つ1つが小型で、波長帯域が広く、常温で使用することができる。

 量子形に比べて、感度、応答速度が劣る。

強誘電体方式

 強誘電体の終電効果、または誘電率の温度依存性を利用

抵抗ボロメータ方式

 抵抗の温度依存性を利用

ダイオード方式

 シリコンダイオードの温度依存性を利用

熱電方式

 2種類の導体を接続した際に生じるゼーベック効果を利用

用途

・自動ドア

・照明

・テレビ、エアコンのリモコン

・自動車

・非接触温度計

・トイレの自動開閉ふた

特徴

メリット

 ①人の動きや動作を感知してスイッチのオン・オフができるので、節電効果がある

 ②非接触でスイッチのオン・オフができるので、感染症対策になる

 ③屋外の目の届かない場所や玄関に設置することで、防犯対策になる

デメリット

 ①直射日光や強い光などでも動作することがある

 ②人以外の例えば猫や犬などの動物でも感知してしまう

 ③不可視光のため、気づかずに目に入ってしまい、網膜の損傷の原因となる




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