このページでは、技術士論文の文章作法(テクニック)を掲載します。
常体(「〜である」調)で記述する
文章には、敬体の「ですます」調と、常体の「である」調があります。技術士論文では、「である」調で記述するようにしてください。
まちがっても、「ですます」調と「である」調は混在させないでください。
理由①
文章を断定的に言い切ることで、強い印象と説得力のある文章になります。
理由②
文字数を削減することができ、より多くの情報を記述することができます。
句点
「。」のことを言います。文章の終わりに必ず記述します。
また、よくある間違いですが、句点は箇条書き、題目には記述してはいけません。
さらに、( )書きで終わる場合、( )書きの外に句点を記載します。
例
〜である(〇〇を含む)。
1マス1文字が基本ですが、行の先頭に句点がきてはいけません。
読点
「、」のことを言います。主語を明確にするために記述します。
また、接続詞、副詞、条件文の後ろには必ず記述します。
例
しかし、○○と考えられる。
したがって、○○となる。
〇〇と仮定すると、××が得られる。
1マス1文字が基本ですが、行の先頭に読点がきてはいけません。
かぎかっこ
語句を目立たせたい場合、注意を引くために使用します。
例
今後の日本は、さらに「人材不足・後継者不足」が進むであろう。
これを解決するには、「スマートグリッド」を導入することが必要不可欠である。
ひらがな書き
技術論文では、品詞によって漢字・ひらがなの使い分けが一般的です。
以下では、ひらがな書きにする例を記載します。
副詞
動詞、形容詞、形容動詞を修飾する語。
ひらがな表記 | (漢字表記) | 例 |
---|---|---|
いまだに | (未だに) | いまだに解決することが困難である。 |
さまざま | (様々) | さまざまな問題が複合している。 |
きわめて | (極めて) | きわめて重要な問題である。 |
ともに | (共に) | A・Bともに解決できる。 |
わずか | (僅か) | わずかに異なる。 |
接続詞
前後の文や語句の関係を示す語。
ひらがな表記 | (漢字表記) | 例 |
---|---|---|
あるいは | (或いは) | AあるいはB |
および | (及び) | AおよびB |
または | (又は) | AまたはB |
かつ | (且つ) | AかつB |
したがって | (従って) | したがって、〇〇と考える。 |
さらに | (更に) | さらに、〇〇が考えられる。 |
ゆえに | (故に) | ゆえに、○○となる。 |
形容詞・形容動詞
物事の状態や性質が「どのようであるか」を表現する語。
ひらがな表記 | (漢字表記) | 例 |
---|---|---|
さまざま | (様々) | さまざまな方法 |
しがたい | (し難い) | 解決しがたい問題 |
やさしい | (易しい) | やさしい問題 |
よい | (良い) | よい結果 |
してよい | (して良い) | ○○してよい |
一文一意
一文一意とは、一つの文章で一つの意味をもたせることを言います。
文章が長いと、主張したいことがわからず、支離滅裂な表現になってしまいます。
技術論文を書くときは、一文一意を意識しましょう。
文章が長くなるときは、適切な接続語を設けて文章を分割します。
添削前
本件名の課題は〇〇で、私は△△が問題だと考えたので××を提案し、◎%のコスト低減ができた。
→一文四意(一つの文章で4つの意味)
添削後
本件名の課題は○○である。私は、△△が問題であると考えた。そこで、××を提案した。その結果、◎%のコスト低減ができた。
その他NG集
話し言葉、表現の不統一、長い文言など、NG集の一例を紹介します。
特に話し言葉は、ここで紹介した以外にも多数ありますので、十分に注意してください。
技術論文のNG集
・〜においては
添削前
工場においては、CO2の削減が求められる。
添削後
工場では、CO2の削減が求められる。
・〜〜が考えられる。
添削前
〇〇の解決には、☆☆の技術を適用することが考えられる。
添削後
〇〇の解決には、☆☆の技術を適用する。
・話し言葉①
添削前
調べ方が甘く、曖昧な点が多い。
添削後
調べ方が不十分で、曖昧な点が多い。
・話し言葉②
添削前
問題が発生した原因は不明である。なので、関係者に聞き取り調査を行った。
添削後
問題が発生した原因は不明である。そこで、関係者に聞き取り調査を行った。
・話し言葉③
添削前
〇〇が一番多い。
添削後
〇〇が最も多い。
・話し言葉④
添削前
はじめに〇〇を行う。それから、☆☆を行う。
添削後
まず、〇〇を行う。次に、☆☆を行う。
・話し言葉⑤
添削前
〇〇である。言い換えると、☆☆である。
添削後
〇〇である。すなわち、☆☆である。
※ただし、技術士論文では言い換え表現はおすすめしません。文字数制限が限られている中で、同じことを2度繰り返し表現するからです。
・話し言葉⑥
添削前
〇〇技術は、他社にも展開できるので推進する。
添削後
〇〇技術は、他社にも展開できるため推進する。
・表現の不統一
添削前
1.CO2削減の拡大
〜〜である。そのため、〜〜が求められている。
(中略)
2.省エネの推進
〜〜である。このため、〜〜が求められている。
添削後
1.CO2削減の拡大
〜〜である。そのため、〜〜が求められている。
(中略)
2.省エネの推進
〜〜である。そのため、〜〜が求められている。
・長い表現
添削前
〇〇を向上していくことが重要である。
添削後
〇〇を向上することが重要である。
役立つ表現集
論文を記述するにあたり、役立つ表現集をまとめます。※逐次追加します。
・並列な文の番号付け
自動運転技術は、①位置特定技術、②障害物認識技術、③通信技術で構成される。
(ミニ解説)
複数の並列した事象を記載すると、どうしても文章が長くなってしまう。
①、②、③と番号を付与することで、長文になっても読みやすい文章となる。
・具体的には
〜〜の方針を行う。
具体的には、〇〇技術と〇〇技術を融合させる。・・・・・
(ミニ解説)
「ここからが具体的な手法ですよ」と試験官にアピールする。
・そのため
〜〜が現状である。そのため、〜〜が問題である。
(ミニ解説)
前後の文章の論理関係が明確になる。
・さらに
〜〜が達成可能である。さらに、〇〇にも適用が可能となる。
(ミニ解説)
単なる目標(課題)達成だけではなく、他にも波及効果があることをアピールできる。
ただし、文字数の観点から、乱用は良くない。