概要
商用系統と需要家側のエネルギー管理システム(EMS)が、双方向に通信する機能を有し、実時間で協調することで電力供給の全体最適化を実現する技術のことをいいます。
ICTを活用して電力供給や需要に係る課題に対応する次世代の賢い送電線網のことであり、電力系統に接続されるすべての設備(電力設備、情報通信機器、需要機器など)を指します。
構築目的
①ピークシフトによる電力設備の有効活用と需要家の省エネ化
②再生可能エネルギーの導入拡大
③停電対策
④電力不足時に特定負荷の強制的な遮断、自動遮断による電力不足回避、電力供給予備力の確保
導入の意義
①大容量負荷の調整で大容量の負荷調整容量を確保しやすい
②FMES、BEMSおよびセンサの普及により、電力利用状況の可視化や負荷調整制御が実現しやすい
③電力負荷調整に対する経済原理が適用しやすい
④大型の蓄電・蓄熱設備、自家発電設備を有する場合に、負荷制御や負荷のタイムシフトが容易
具体的には、空調、照明、昇降機などの設備負荷の抑制、太陽光発電や自家発電設備の利用による受電電力の抑制、蓄電・蓄熱システムを生かした負荷のタイムシフトなどが挙げられます。
特徴
メリット
電力の見える化
スマートメータを導入することで、需要のピークや電力量をリアルタイムで見える化することができます。
スマートメータでは、使用量だけではなく、電気の使い方、時間帯まで割り出すことができます。
電力の使用量を分析することで、節電すべき対象がわかりやすくなります。
効率的な電力供給
スマートメータにより、電気需要の正確な予測が可能になります。
そのため、急な電力ピークに合わせて、遠くの発電所から送電してもらうケースが少なくなり、電力ロスの低減につながります。
デメリット
導入コスト
スマートグリッドの導入には、少しでも多くの一般家庭やオフィスビルにスマートメーターを設置する必要があります。
そのための費用負担と時間、手間が発生します。
課題・問題点・解決策
系統の安定化
供給が需要を上回ると、余剰電力が電力設備へ逆潮流する。
そこで、①スマートメータ導入による現地データの取得、②現地データによる電圧調整器の自動制御を行う。
セキュリティ確保
ネットワークを利用してデータの通信を行うため、ウィルスや不正サクセスが発生する恐れがある。
データの暗号化、データセンターとの接続点にファイアウォールの多段構成による防御、アクセス認証などのセキュリティ対策を行う。
安定した電力供給
再生可能エネルギー出力は気象条件により変動する。
電力貯蔵設備(蓄電池、揚水など)で余剰電力を吸収し、ピーク時に使用する(ピークシフト)。
今後の展望
太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーは天候に影響されて発電量が不規則的に変化する。
このエネルギーを効率的に利用しながら、安定した電力供給は、低炭素化社会の実現に向けて重要である。
電力網と情報通信網を組み合わせたマイクログリッドの普及拡大はそれを可能とすることができ、注目されている。