概要
選択科目Ⅱ-1の問題構成は、概ね以下のようになっています(技術部門によって傾向が少し異なる場合があります)。
与えられたテーマ(機器、現象、設備、方式など)に対して
・概要
・仕組み、メカニズム
・特徴(メリット、デメリット)
・事例
・課題、問題点、対策
・留意点
・計算問題(部門による)
・検討事項
問題によって問われる内容は様々ですので、過去問を通じて傾向を把握しましょう。
コンピテンシー | 必須科目Ⅰ | 選択科目Ⅱ−1 | 選択科目Ⅱ−2 | 選択科目Ⅲ | 口頭試験 |
専門的学識 | ◯ (基本知識理解) | ◯ (基本知識理解) (基本理解レベル) | ◯ (業務知識理解) (業務理解レベル) | ◯ (基本知識理解) | ー |
問題解決 | ◯ (課題抽出) (方策提起) | ー | ー | ◯ (課題抽出) (方策提起) | ー |
評価 | ◯ (新たなリスク) | ー | ー | ◯ (新たなリスク) | ◯ |
技術者倫理 | ◯ (社会的認識) | ー | ー | ー | ◯ |
マネジメント | ー | ー | ◯ (業務遂行手順) | ー | ◯ |
コミュニケーション | ◯ (的確表現) | ◯ (的確表現) | ◯ (的確表現) | ◯ (的確表現) | ◯ |
リーダーシップ | ー | ー | ◯ (関係者調整) | ー | ◯ |
継続研さん | ー | ー | ー | ー | ◯ |
対策
1行に複数の設問がある場合
選択科目Ⅱ−1では、問題によって1行に複数の設問があります。その場合は、設問を見抜き、その設問ごとに章立てを行います。
事例1 電気電子部門-電気応用(令和4年度)Ⅱ−1−1の場合
問題文
電磁調理器(IH調理器)の加熱原理、特徴及び使用上の留意点について述べよ。
答案の構成例(一例)
(1)加熱原理
〜〜〜
(2)特徴
メリット:〜〜〜
デメリット:〜〜〜
(3)使用上の留意点
〜〜〜
この問題の設問は、(1)加熱原理、(2)特徴、(3)使用上の留意点の3つです。そのため、それらを章立てとして記載します。
また、章立ては設問に忠実に記載します。たとえば、設問に「特徴」とあれば、章立ても「特徴」とします。
「メリット・デメリット」も「特徴」になりますが、章立てはあくまでも「特徴」と記載します。
例に記載しているように、小見出しに「メリット」、「デメリット」と分けて記載することはOKです。
事例2 電気電子部門-電気応用(令和3年度)Ⅱ−1−1の場合
問題文
火力発電所等における環境対策設備の1つに集じん装置がある。方式として遠心式、電気式、ろ過式、湿式などが知られている。このうち、電気式集じん装置(集じん機)について、集じんを行う原理、装置の構造について簡単な図を描いて、説明せよ。また、電気式の長所、短所について他の方式と比較して説明せよ。
答案の構成例(一例)
(1)集じんを行う原理
〜〜〜
(2)装置の構造
〜〜〜
(3)電気式の長所、短所
〇〇方式と比較した長所、短所を記載する。
1.長所
①〜〜〜
②〜〜〜
③〜〜〜
2.短所
①〜〜〜
②〜〜〜
③〜〜〜
この問題の設問は、(1)集じんを行う原理、(2)装置の構造、(3)長所・短所の3つです。そのため、それらを章立てとして記載します。
なお、本設問の記載は「長所・短所」なので、章立てもそれに合わせます。「特徴」、「メリット・デメリット」のような章立てはしません。
また、長所と短所はそれぞれ別にしたほうが記載しやすいでしょう。その場合は、小見出しにして記載します。
特徴、メリット・デメリット、長所・短所
特徴、メリット・デメリット、長所・短所などを記述する設問は多くあります。
この場合、何と比較した特徴なのか、何と比較したメリット・デメリットなのか等、比較対象を記載するようにしましょう。
「設問に〇〇と比較して」と記載していない場合でも、比較対象は記載するようにしましょう。
また、比較対象が複数ある場合、表を用いることで効果的に記述することができます。
この場合、細かい数値の比較などは不要です。◎、◯、△、✗程度の比較をすればよいでしょう。
表を用いた特徴の記載例
A方式 | B方式 | C方式 | D方式 | |
項目1 | ◯ | ◎ | △ | ✗ |
項目2 | △ | △ | ◎ | ✗ |
項目3 | ◎ | △ | ✗ | ◎ |
項目4 | ◯ | ✗ | ◯ | △ |
原理
原理は、基本的に箇条書きで記載することをおすすめします。
箇条書きにすることで、どのような流れで動作するのか、わかりやすく記載することができます。
なお、箇条書きにするときは、体言止めにし、文末に「。」は記載しません。
事例:電磁誘導方式による非接触給電の原理
添削前
ファラデーの電磁誘導法則を利用した電力伝送方式である。一対のコイルを用いる。片方(送信コイル側)に交流電圧を印加し、磁界を発生させ、もう片方(受信コイル側)がその磁界を受けて電力を発生させる。
添削後
ファラデーの電磁誘導法則を利用した電力伝送方式である。(図を記載する)
①コイルの1次側に交流電圧を印加
②1次コイルと2次コイルを貫くように磁界が発生
③コイルの2次側では、磁束を打ち消すように誘導起電力が発生
④この誘導起電力を外部に取り出し活用
図を用いた説明
Ⅱ−1では、図を用いて説明することも多々あります(設問で要求される場合もあります)。
この場合、図に記載した内容は、答案論文のどの部分になるか、わかるように記載しましょう。
特に、図の説明と文章が不一致の場合、大幅に減点されます。
具体的には、下記の例のように、図の番号と文章の番号を一致させます。
なお、技術論文では、図のタイトルは「図の下側」、表のタイトルは「表の上側」に記載することが一般的です。
図と文章の記載例
(1)太陽電池の動作原理
①太陽光エネルギーがpn接合半導体に入射
②価電子帯にある電子が伝導帯へ遷移
③遷移した電子は拡散および空乏層の電界によりドリフトしn型半導体へ移動
④この電子を外部回路に取り出すことで電流が発生

図表を用いた説明の注意点
令和5年度の受験申込み案内にて、採点に際しての取り扱いが追加されました。
5.採点に際しての取り扱い
(令和5年度技術士第二次試験受験申込み案内p23より)
(中略)
(3)答案用紙は、A4版、片面のみ 24 字×25 行の計 600 字詰めです。
原則として1マス1文字として解答してください。(図表を用いて解答する場合を含む。)
なお、英字・数字は1マス2文字を目安としてください。(図表を用いて解答する場合を含む。)
マスを無視して解答した場合は、採点対象から除外する場合があります。
これまで(令和4年度まで)は、図表についての明言はありませんでした。つまり、図表枠内はいわゆる治外法権で、1マス1文字の制限がありませんでした。
しかし、令和5年度の受験申込み案内より明言されています。
論文練習&試験本番ではご注意ください。
あくまでも著者の考えですが、表はともかく図は1マス1文字は難しい気がします。
「原則として」とありますが、この原則がどこまで適用されるのかわかりません。
また、採点委員に、図表内も1マス1文字がどこまで伝わっているのかわかりません。
しかし、少しでも不安を感じる方は、図表内も1マス1文字で記載しましょう。