概要
磁界の大きさや変化量を電気信号に変換するセンサのことをいいます。
非破壊検査装置、心磁図・脳磁図などの生体磁場計測装置、移動体深知、機雷・地雷などの深知、方位計などに使用されています。
種類
コイル
①コイルに磁石を近づけると、コイル内の磁束密度が変化
②磁束密度の増加を妨げるような誘導起電力が発生
③誘導起電力を観測することで、磁束密度の変化の割合や向きを検出
リードスイッチ
左右から伸びる金属片が、オーバーラップする位置で隙間を開けてガラス管に封入されたセンサ。
ガラス管内は、接点の劣化を防ぐために、窒素などの不活性ガスが充填されている。
通常は開放状態だが、両端の磁性体に沿って磁界を受けると、磁性体が磁化し、接点部が引き寄せられることで、電気的に導通状態となる。
半導体薄膜磁気センサ
半導体のホール効果や磁気抵抗効果を利用するセンサ。
ホール素子
半導体中の電流に磁界が作用することによって生じるホール効果を利用した磁気センサ。
磁界の磁束密度を検出でき、磁気信号を検知して電気信号として出力する。
半導体磁気抵抗素子(SMR)
半導体に流れる電流に、垂直に磁界を加えると、半導体の電気抵抗が増加する現象(磁気抵抗効果:MR効果)を利用した磁気センサ。
電子のスピンによるものと、電子の電荷によるローレンツ力が働くことによるものがある。
異方性磁気抵抗素子(AMR)
強磁性体膜の磁化方向が、電流の方向に平行な場合と垂直な場合とで、電子の散乱度合いが変化することで、抵抗値が変化する現象を利用した磁気センサ。
磁化方向が電流に対して平行な場合、電子軌道が電流に対して垂直となるため、抵抗値が最大となる。そのため、スピンによる拡散が増加し、電気抵抗が大きくなる。
磁化方向が電流に対して垂直な場合、電子軌道が電流に対して水平となるため、抵抗値が最小となる。そのため、スピンによる拡散が減少し、電気抵抗が小さくなる。
巨大磁気抵抗素子(GMR)
強磁性体ー非磁性体金属ー強磁性体の積層膜で構成された磁気センサ。
上下の強磁性体の磁化が反平行な場合と、同平行な場合とで、電子の散乱度合いが変化し、抵抗値が変化する現象を利用している。
AMRに比べて、2〜5倍程度の磁気感度を実現することができる。
トンネル磁気抵抗素子(TMR)
強磁性体ー絶縁体ー強磁性体の積層膜で構成された磁気センサ。
上下の強磁性体の磁化が反平行な場合と、同平行な場合とで、トンネル効果により絶縁体を通過する電子の割合が変化し、抵抗値が変化する現象を利用している。
ハードディスクの磁気ヘッドや高精度回転角センサなどで使用されている。
トンネル効果
エネルギー的には通常超えることができない領域を、粒子が一定の確率で通り抜けてしまう現象
詳細に解説してある動画はこちらを参照
MIセンサ
高周波電流を利用し、微弱な磁界を高感度で検出できる磁気センサ。
アモルファス磁性金属ワイヤの磁気インピーダンス効果(MI効果)を利用している。
磁気インピーダンス効果
磁性体に表皮効果を生じさせる高周波電流を流すと、そのインピーダンスが外部磁化によって高感度に変化する電磁気現象。
超電導磁気センサ
超電導量子干渉素子(SQUID)を利用した磁気センサ。
ジョセフソン効果を応用したセンサで、極めて微弱な磁界(10-15〜10-18T)が測定できる。
人体の心磁界や脳磁界を効果的に検出することができる。
ジョセフソン効果
極めて薄い絶縁膜を挟んだ2つの超電導体の間を、トンネル効果によって超電導電子対(超電導電流)が流れる現象