概要
対象物に触れることなく、物体が反射・放射する電磁波を遠隔から計測することで、物体の形状や性質などを識別する技術のことをいいます。
人工衛星に搭載したセンサで、地表面、大気、海などの状態を観測し、都市システム計画や地球温暖化対策などの分野に利用します。
原理
物質は光などの電磁波を受けると、それぞれの種類と性質に応じて、それぞれの波長ごとに反射または吸収する性質をもちます。
また、物質が熱を持つと、その性質に応じてそれぞれの波長ごとに特有の割合で電磁波を放射します。
リモートセンシングは、これらの性質を利用してセンシングを行う技術です。
特徴
人工衛星にセンサを搭載しセンシングを行った場合、以下の特徴があります。
①広い範囲を一度に観測できる。
②同じ地域を長期間観測できる。
③直接現地に行かなくても観測できる(遠隔観測ができる)
課題・解決策
①利用者ニーズに合わせたリモートセンシングの制定
→時間、空間、波長分解能の性能向上と、用途に応じたセンサの搭載
②リモートセンシング推進のための環境整備
→国際連携による観測データの共有化
③観測データ利用のプラットフォームの具体化
→安定的な運用を支える航空宇宙産業の振興化
応用例
①都市システム計画の科学的根拠:都市ヒートアイランドのリモートセンシングによる監視
②環境と生態系の保護:植生の純一次生産力の監視
③地球温暖化対策:気象変動や二酸化炭素増加の監視
今後の展望
①画像内検索技術:画像インデックスの自動作成
②可視化技術:画像データ内の情報をユーザが必要な形式に変換して提示
③UAVの活用:ドローンなどを用いたリモートセンシング。
人工衛星(高度700km)の場合、大気の気象状態に左右されるので、欲しい時期の情報を取得できない場合がある。
また衛星画像を入手するにはそれなりのコストが必要(数十万円~)。
ドローンは上空の気象状況の影響を受けにくく、低空で観測できるため、欲しい時期の情報を数cm単位で取得できる。
ドローンの課題:モニタリング結果を可視化するまでにいくつかの工程が必要(空撮、データ作成、データ可視化など)。それぞれの知識・技術が必要になる。