概要・原理
LiDARとは、光パルス・レーザー光・FM波など変調を受けた光が、測定対象物に照射し、反射するまでの遅延時間から距離を測定する方法です。
①レーザー光を対象物に照射
②対象物からの反射光を受光
③照射から受光までの時間(飛行時間)を計測
④対象物までの距離=光速×飛行時間×1/2で算出
なお、LiDARは、レーザー光の影響により距離を測定する技術全般をいい、パルス波・レーザー光を用いたものをToF方式、FM波を用いたものをFMCW方式といいます。
応用例
自動運転
自動運転を可能にする要素技術として、先進運転支援システムでは、前方を走行する自動車との距離を測ったり、障害物を検知したりするために、周波数帯30~300GHz帯のミリ波レーダーが使用されています。
しかし、ミリ波レーダーでは対象までの距離を測ることができても、それが自動車なのか歩行者なのか、あるいは障害物なのかを測ることは難しいという欠点があります。
LiDARでは、高精度に人や障害物を検知することが可能になることから、自動運転実現に向けて高度化が期待されています。
AR
ARは、現実の風景にさまざまな映像を重ねられる技術ですが、しばしばオクルージョン(ARコンテンツが現実の物体の前後関係により、後ろに隠れたり、手前に表示されたりするという技術)が問題となります。
たとえば、テーブルの向こう側にARコンテンツを表示したい場合、テーブルの位置が把握できていないとテーブルの手前に表示されてしまったり、テーブルと重なってしまったりと不自然な表示になってしまいます。
LiDARで周囲の位置関係を正確に測定できれば、それをもとにARコンテンツの自然な表示が可能になります。
ロボット
飲食店や空港など、商品を運んだり、道案内を行うロボットにもLiDAR技術が使用されています。
障害物を自動的に避け、あるいは、停止することで、安全に自動走行を行っています。
留意点
①光を利用しているため、悪天候時では検出能力が低下します。
悪天候時の使用は、ミリ波レーダーなどを併用します。
②機械式構造のため、ミリ波レーダーなど他の方式よりも高価になります。
近年では、MEMS技術などを導入し、小型化・低コスト化が進んでいます。