ワイヤレス給電の方式
電磁誘導方式
ファラデーの電磁誘導則に基づいた方式のことをいいます。
1次コイルと2次コイルで構成されます。
1次コイル側に交流電圧を印加すると磁束が発生し、2次コイル側では、この磁束を打ち消すように誘導起電力が発生します。
2次コイル側に発生する誘導起電力を、機器などの充電に用いています。
コイルの位置ずれが発生すると、1次コイルで発生する磁束の一部しか2次コイルに貫通しないため、効率が低下します。
電磁界共振方式
共振エネルギーにより給電する方式のことをいいます。
送受電装置の両方に、共振周波数を一致させたコイルとコンデンサで構成されるLC共振器を用います。
送信側から発生するノイズにより、周囲の機器へ電波障害が発生する恐れがあります。
電波方式
送電側で電流を電磁波に変換し、受電側のアンテナで電磁波を検波する方式のことをいいます。
整流回路を用いて直流電流に変換しています。
2.4GHz帯や5.8GHz帯などの周波数を用いるのが一般的です。
2.5GHz帯はWi-Fiで用いられているため、周波数の混信が発生するおそれがあります。
電界結合方式
送電側と受電側で対面した電極を設置し、コンデンサを形成します。送電側の電極に高周波数の交流電圧を印加すると、受電側にも電流が流れる現象を利用した方式です。
位置ずれの影響が少なく、給電部の発熱が少なくなります。
高電圧を使用する必要があり、また、大電力を伝送するには、電極を大きくする必要があります。
比較
項目 | 電磁誘導方式 | 電磁界共振方式 | 電波方式 | 電界結合方式 |
大電力化 | ○ | ○ | △ | ◎ |
給電効率 | ○(〜90%) | △(〜60%) | ×(〜数%) | ○(〜90%) |
伝送距離 | ×(〜1m) | △(〜数m) | ○(数十m以上) | ×(〜数cm) |
位置ずれ | △ | ○ | ◎ | △ |
コスト | ◎ | △ | ◎ | × |