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(技術士キーワード)コンバインドサイクル発電

2022年11月3日

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概要

 コンバインドサイクル発電とは、「ガスタービン」と「蒸気タービン」を組み合わせた発電方式です。

 ①圧縮空気中の中で天然ガスなどの燃料を燃焼させ、高温高圧ガスを発生させる。

 ②高温高圧ガスにより、ガスタービンを回転させ発電する(1回目の発電)

 ③ガスタービンを回し終えた排ガスの熱を利用し、排熱回収ボイラで蒸気を発生させる。

 ④この蒸気により、蒸気タービンを回転させ発電する(2回目の発電)

排気助熱
 ガスタービンの排気ガスに燃料を追加投入し、残存酵素を使って燃焼させ、排気ガスの温度を高めて排熱回収ボイラに導く。構成は排熱回収図の排気ガスを燃料に置き換えたものと同じ。

特徴

メリット

熱効率が高い
排ガスの熱を利用して蒸気を作り、蒸気タービンを回転させるため、熱効率が高くなります。
火力発電の熱効率は約40%に対して、コンバインドサイクル発電は55〜60%。

起動・停止時間が短い
コンバインドサイクル発電の設備は、急速起動が可能なガスタービン小型の蒸気タービンの組み合わせで構成できます。そのため、起動・停止時間を短くすることができます。
火力発電の起動時間は3時間程度に対し、コンバインドサイクル発電は1時間程度。

優れた環境特性
 燃料のLNGは、気体の天然ガスを長距離運搬しやすくするため約-160℃に冷やして液体の状態にしたものです。
 この「液化」する過程で、ガス中に含まれる硫黄や塵などの不純物を除去するため、燃焼時に硫黄酸化物(SOX)や、ばい塵は発生しません。
 また、天然ガスは、石炭や石油に比べて発電時における窒素酸化物(NOX)の排出量や二酸化炭素(CO2)の発生量も少なく、環境特性に優れた燃料です。

デメリット

燃料価格の変動
 天然ガスは約97%を外国から輸入しています。
 そのため、外国の情勢や自然災害などにより、燃料価格が高騰する恐れがあります。

メンテナンスの複雑化
 単体のタービンで構成される火力発電より、構成が複雑になります。
 そのため、メンテナンスが複雑になったり、時間を要することになります。

他の発電方式

トリプルコンバインドサイクル発電
 燃料電池、ガスタービン、スチームタービンを組み合わせた発電方式のことをいいます。

石炭ガス化複合発電(IGCC)
 石炭をガス化炉内の加圧、高温の条件下で部分酸化することにより、一酸化炭素、水素を主成分とした可燃性ガスに転換させます。
 石炭に由来する窒素化合物、硫黄化合物、ダストなどの不純物をガス精製プロセスで除去し、LNGと同様にガスタービンコンバインドサイクルを駆動する燃料として使用する発電方式のことをいいます。

石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)
 石炭をガス化し、トリプルコンバインドサイクル発電技術を利用した発電方式のことをいいます。

参考のURL

東京電力ホールディングス

北海道電力

コンバインドサイクル発電プラント(川崎重工)

環境展望台




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