概要
電機子巻線に電流が流れることにより、磁束が発生する作用のことをいいます。
この磁束により界磁(主磁極)の磁束に影響を与えます。
電機子電流の力率により、異なる作用を受けます。
原理・影響・対策
直流機
原理
①電機子に電流が流れていないときは、幾何学的中性軸と電気的中性軸は等しい。
②電機子に電流が流れると、アンペアの右ねじの法則により主磁束と直角方向の磁束が発生する。
③この磁束により幾何学的中性軸と電気的中性軸にずれが生じる。
影響
①起電力を発生しているコイルがブラシで短絡することになるので、整流中のコイルを通じて短絡電流が流れ、ブラシに火花が発生する。
②正負ブラシ間でフラッシュオーバーが発生する。
③減磁作用のため、発電機では起電力の低下、電動機では回転速度の上昇が生じる。
対策
①補極
電機子と直列に接続した巻線磁極を整流子付近に配置し、回転子が生じさせた起磁力を打ち消す
②補償巻線
電機子巻線と相対するように巻線を配置し、電機子電流と逆向きに電流を流すことで、磁束を打ち消す
同期機
原理
発生原理は直流機と同じである。
同期機の場合は、電機子に流れる電流が交流であるため、電流の位相によって電機子反作用は異なる現象を発生させる。
影響
発電機 | 電動機 | |
同相電流 | 交さ磁化作用 起電力が歪む | 交さ磁化作用 逆起電力が歪む |
進み電流 | 増磁作用 起電力が増加 | 減磁作用 逆起電力が減少 |
遅れ電流 | 減磁作用 起電力が減少 | 増磁作用 逆起電力が増加 |
交さ磁化作用
回転子における回転方向側の磁束は、主磁束と逆向きになる⇒界磁磁束を弱める。
回転子における反対側の磁束は、主磁束と同方向になる⇒界磁磁束を強める。
増磁作用
電機子巻線に生じる電機子磁束の方向と、回転子の界磁磁束が逆向きになる。
減磁作用
電機子巻線に発生する磁束と、回転子が発生する界磁磁束の方向が一致する。
対策
電流の位相によって電機子反作用は一定でないために有効な対策はない。
同期調相機
界磁磁束の強弱で電機子電流の力率が変化するので、この特性が有効活用される。
同期電動機の場合
①界磁電流を減少させると電機子電流は遅れ力率
②界磁電流を増加させると電機子電流は進み力率
となるので、界磁電流を変えることで任意の力率を得ることができる。
これを利用して力率調整を行う為の電動機が同期調相機である。