概要
静電誘導や電磁誘導によって引き起こされる電子機器やシステムの障害・不具合、人体への影響のことをいいます。
障害の種類
静電誘導障害
概要
電子機器やシステムにおいて、静電気によって引き起こされる障害や不具合のことをいいます。
静電誘導障害は、静電気の蓄積や放電によって生じる電荷の移動や電場の変動に起因します。
影響
データ破損
静電気の放電が電子機器やデータストレージ装置に直接影響を与えると、データの破損や消失が発生する可能性があります。
特に、デジタルデバイスやセンシング機器など、電子データを扱う装置は影響を受けやすくなります。
機器の故障
静電気の放電による電流が、電子機器の回路や部品に直接流れると、回路の損傷や部品の故障が発生することがあります。
例えば、集積回路(IC)やトランジスタ、コンデンサなどの静電気に敏感な部品は、静電気の放電によって損傷する可能性があります。
システム信頼性の低下
静電気の放電がシステム内の信号回路や制御回路に影響を与えると、信号の乱れや制御の誤動作が発生し、システムの信頼性が低下する可能性があります。
特に、通信システムや自動制御システムなど、高い信号品質と正確な制御が求められる場合には重要です。
対策
接地
静電気の蓄積を防ぐために、装置や人体の静電気を地に逃がすための接地を行います。
装置や機器には適切な接地回路を設け、人体には静電気を逃がすための接地マットや静電気除去装置を使用します。
静電気防止設計
静電気が問題となる環境では、静電気を発生しにくい設計や配置を行います。
例えば、回路や導体の適切な配置、静電気を発生しにくい素材の使用、静電気を帯びる部品や材料を使用しないなどが挙げられます。
電磁誘導障害
概要
電磁誘導は、電気回路や導体に変動する磁場が作用することで生じます。
この磁場の変動によって、隣接する回路や導体に誘導電流が発生し、意図しない電圧や電流が発生することがあります。
影響
クロストーク
電磁誘導によって、近接した電線や導体間で信号が相互に影響し合う現象です。
これにより、本来の信号が乱れたり、ノイズが混入したりすることがあります。
クロストークは、通信回路やデータ伝送回路で特に問題となります。
電磁波干渉
電磁波の放射や受信によって、他の電子機器やシステムの正常な動作に影響を与える現象です。
周囲の電磁波源や電磁放射装置の影響を受けることで、通信障害やノイズが発生する可能性があります。
電源ノイズ
電力供給回路からのノイズやスパイクが、他の回路や機器に影響を及ぼす現象です。
電源回路のスイッチング動作や他の負荷からのノイズが、電子機器やシステムの動作に影響を与えることがあります。
対策
遮蔽
電磁波の放射や受信を防ぐために、電磁シールドを使用します。
電磁シールドは、金属板や導電性コーティングなどの材料で構成され、電磁波の伝播を制限します。
ケーブル、回路基板、電子機器の外部筐体などに設置します。
フィルタリング
電磁波のノイズを除去するために、フィルタ回路を使用します。
フィルタは、特定の周波数範囲の電磁波を減衰させる役割を果たし、ノイズの影響を軽減します。
電源回路や信号回路に設置されます。
接地
電磁波の放射や受信を制御するために、適切な接地を行います。
接地は、電磁波の逃げ道として機能し、静電気の蓄積や電磁波の影響を軽減します。
装置や機器には適切な接地回路を設け、グラウンドプレーンや接地プレーンを使用して電磁波の伝播を制御することがあります。
誘導電圧
異常時誘導電圧
送電線の地絡事故や断線事故などにより流れる零相電流によって生じる電圧のことをいいます。
送電線接地方式や事故形態にもよりますが、大きな誘導電圧が発生します。
常時誘導電圧
常時負荷電流の各相の不均衡、送電線と通信線の不整合による相互インピーダンスの不平衡などによって生じる電圧のことをいいます。
誘導雑音電圧
送電線に流れる高調波、おもに第3調波成分などの零相分によって生じる電圧のことをいいます。