概要
管路内の水流を急に遮断すると、管路内では瞬間的に大きな圧力の上昇が発生します。
また、水が急に流れ出すと、瞬間的に大きな圧力の降下が発生します。
このようにして起こる現象のことをいいます。
水撃作用により、管路や水車などが破壊されることがあります。
発生要因
水力発電所における水撃作用の発生要因は、以下の要な場合があります。
①負荷が急変し、それに応じて水口開度を変えることにより流量が変化した場合
②運転中に何らかの異常で水口が閉鎖せず、入口便のみで閉鎖してしまった場合
③落雷などによる遠方遮断、あるいは所内事故による単独遮断の結果、系統から切り離された主機を急停止させるため、水口が急閉鎖した場合
一般的には、③の場合を考慮して対策がとられています。
対策
サージタンクの設置
圧力トンネルの途中、または末端に設けられる水槽の一種である。
負荷の変動によって発生する水撃圧を軽減・吸収することで水量を調整する。
単動サージタンク
水槽と水路を直結した単純な構造。
比較的大きな容量が必要であるが、水撃圧は確実に軽減できる
差動サージタンク
水槽の内部に水路断面積と同程度のライザを設けて水路と直結する。
水槽下部にポートを設けた方式で、水車の流量変化にはライザが応動する。
単動式に比べて、高さ、または断面積を半分程度にすることができる。
水室サージタンク
水槽の断面積を、振動の安定条件を満たす最小の断面積とし、その上下に水室を設けたもの。
水室容積により圧力上昇を抑えることができる。
制水口サージタンク
水槽と水路をポートで連結したもの。
ポートを出入りするときの摩擦で抑制する。
制圧機
一種の安全弁で、水車の渦巻ケーシングの一部から分岐して設置される。
一定の速度以上で水口が閉鎖されると、連動して動作し、水圧上昇を抑えるようにしている。
主に反動水車に使用されている。
デフレクタ
水車の負荷が急激に減少したときに、デフレクタが動作して噴射水を折り曲げる。
バケットにあたらないように回転数の上昇を抑え、その後、ニードル弁が徐々に閉じる。
ペルトン水車で使用されている。