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(技術士キーワード)水力発電

2022年12月5日

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概要

 沼池や人工的な貯水池などの高い位置にある水、河川を下流する水は、いずれも位置エネルギーや運動エネルギーを持っています。

 このような水のもつエネルギーにより水車を回転させ、発電機を駆動させて電気エネルギーを発生する発電方式のことをいいます。

 水力発電では、発電所の出力を調整するために、水を一時的に貯留する貯水池や調整池を設けます。

 また、水の持つ位置エネルギーを最大限に利用するため、ダムや水路により落差を確保します。

種類

構造による分類

水路式変電所

 河川の水をこう配の緩やかな水路で下流に導き、河川の自然こう配との間に落差を得て発電する方式

 ダム → 取水口 → (導水路) → 沈砂池 → 導水路 → 水槽 → 水圧管路 → 発電所 → 放水路 → 放水口

ダム式発電所

 河川にダムを構築し、ダムの上流側の水位を上げることにより下流側との間に得られる落差を利用して発電する方式

 ダム → 取水口 → 水圧管路 → 発電所 → 放水口

ダム水路式発電所

 水路式とダム式との併用方式で、ダムと水路の療法で落差を得て発電する方式

 ダム → 取水口 → 導水路 → サージタンク → 水圧管路 → 発電所 → 放水路 → 放水口

運用による分類

流込み式発電所

 河川流量を調整する池を持たず、自然流量に応じて発電する発電所

 豊水期に無効放流が生じ、河水の利用度は低く、発生電力は季節により変動する。

調整池式発電所

 日間または週間の負荷の変動に応じて河川の流量を調整する調整池を持った発電所

 深夜または軽負荷時に水を蓄えて、ピーク時負荷に発電放流する。

 流込み式発電所に比べて最大使用水量を大きくすることができるので、河川水を有効に活用できる。

貯水池式発電所

 河川流量の季節的な変動を調整できる容量の貯水池を持った発電所

 河川の洪水および豊水期の水を貯留し、渇水期に補充使用して自己及び下流の発電力の増加を図るとともに、ピーク負荷に対応した発電も行う。

水車の種類

ペルトン水車

 水の速度のみを利用する水車

 落差の大きい発電所に用いられる。

 ノズルから強い勢いで吹き出す水を、おわん形の羽に吹き当てて回転させる。

フランシス水車

 水の圧力と速度を、「ランナ」と呼ばれる羽根車に作用させる水車

 広い範囲の落差に使用できる。

 日本の水力発電所の約7割に使用されている。

斜流水車

 流水がランナの軸に対して斜め方向に通過する水車。

 デリア水車
  ガイドベーンの開度と関連させて自動的にランナベーンの開き角度を調整できるもの

軸流水車

 流水がランナの軸方向に通過する水車。

 カプラン水車
  流水がランナ軸の半径方向にガイドベーンを通過し、ガイドベーンの開度と関連させて自動的にランナベーンの開き角度を調整できるもの

 チューブラ水車
  流水が軸方向あるいは軸の斜め方向にガイドベーンを通過するもの

キャビテーション

概要

 キャビテーションとは、液体が低圧状態(飽和蒸気圧以下)になった時に気化して気泡が発生する現象です。

 原理としては沸騰と同じですが、圧力が十分低ければ、常温でも発生します。

 キャビテーションが発生すると、
 ①効率、出力の低下及び流路断面積の減少により水量が低下する
 ②キャビテーションの発生箇所に壊食が発生する
 ③吸出し管入口の水圧変動が著しくなる

対策

 ①回転速度は、水車の比速度値を超えないようにする。

 ②過度の部分負荷、過負荷運転を避ける。

 ③ランナベーンの形状を整え、表面を平滑に仕上げる。



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