概要
有機ELを用いたディスプレイのことをいいます。
液晶型ディスプレイに比べて、薄型が容易で、消費電力、視野角、応答速度などが優れており、次世代ディスプレイとして注目されています。
構成
①発光層(有機層)
RGBの三原色を配置。有機層の厚みは数百nm程度である。
高分子型(ポリマー型)の有機材料が使用される。
②電極
電源のON、OFFや電圧を変化させることで、有機層の発光をコントロールする。
陽極にはITO(酸化インジウムスズ)、陰極にはアルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物が使用される。
③基板
有機層と電極を挟むように配置する。
ポリイミドやPETが使用される。
特徴
液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイの特徴は以下の通り。
液晶ディスプレイ | プラズマディスプレイ | 有機ELディスプレイ | |
消費電力 | ◯(100〜200W) | ✗(400〜500W) | ◎(理論上) ◯(現状:300〜400W) |
寿命 | ◯(6万時間) | ◎(10万時間) | ✗(1.5〜3万時間) |
価格 | ◯ | ◯ | ✗ |
薄型化 | ◯(バックライトの小型化) | △(放熱スペースが必要) | ◎ |
応答速度 | △(1〜10ms) | △ | ◎ |
視野角 | △ | ◯ | ◎ |
課題・問題点
長寿命化
問題点
有機分子は酸素や湿気に弱いため、液晶ディスプレイに比べて約半分の寿命になる。
解決策
基底状態よりも励起状態にあるときに、水素や水分と反応して劣化する確率が高い。そのため、励起状態を短時間にする。
具体的には、りん光発光材料をドーピングすることで、励起状態の時間を短くすることができる(100ns〜100μs程度)
コスト低減
問題点
有機ELは蒸着方式が主流である。蒸着方式は、
①真空環境で材料を加熱
②気化させてEL層を形成
する必要がある。そのため、プロセス環境を真空にするための設備が必要で、RGB膜を3回に分けてそれぞれ決められた場所に形成させるため、マスキング回数も増加する。
解決策
印刷方式による製造を導入する。
具体的には、材料を大気中で印刷し、EL層を形成する。
真空環境やマスキングが不要なため、設備投資が少なくメンテナンス性も向上する。また、必要な箇所のみを必要な分量だけ塗布するため、材料のロスも少なくなる。