概要
デジタルデバイドとは、社会的、地理的、経済的などの理由で情報格差が生じる現象のことをいいます。
現代の情報技術は急激に進歩しているため、デジタルデバイドの拡大は、社会的孤立、経済的不利益、教育格差の拡大につながる恐れがあります。
情報通信白書では、「インターネットやパソコン等の情報通信技術を利用できる者と利用できない者との間に生じる格差」と定義しています。
要因
経済的要因
情報技術を導入するには、コストが必要です。
しかし、貧困層や経済的に不安な国・地方などでは、情報技術を導入することができず、情報格差が生じる要因となります。
地理的要因
情報技術が普及していない国・地域や、地理的に隔離された場所では、通信インフラが整備されていない場合が多く、インターネットそのものに接続することが困難な場合があります。
教育的要因
情報技術の利用は、適切なスキルや知識、経験が必要になります。
しかし、教育水準が低い地域や、教育機会に恵まれない人々は、情報技術を利用することができず、情報格差の拡大要因となります。
年齢的要因(高齢者層)
高齢者層は、情報技術に慣れ親しんでいない場合が多いため、新たな技術を理解するのに時間を要します。
また、加齢とともに、身体的、知覚的な衰えが生じ、新しい技術用語や操作を習得することが困難になります。
さらに、高齢者と若者は、異なる価値観を持っていることがあります。そもそも情報技術を必要としていない場合があるため、情報技術に関心が低い場合があります。
年齢的要因(若年層)
近年、20代のPC普及率が低くなっています。
この世代は、いわゆる「スマホネイティブ」と呼ばれ、初めてのインターネット利用はスマートフォンであることが多いです。
その後も全てスマートフォンで事足りてしまうため、PCを扱う機械が減ってきています。
これにより、PCの基本的操作が行えず、仕事に必要なIT技術を使うためのスキルが身についていない場合があります。
問題点
デジタルデバイドが拡大すると、以下のような問題点が発生します。
IT人材の流出
デジタル社会において、高いITスキルを持った人材は貴重です。
デジタルデバイドの拡大により、ITに関する専門的な知識や技術を持った人材が不足します。
さらに、優秀なIT人材は、より高待遇の企業への転籍など、人材流出に歯止めがかからなくなります。
デジタルデバイドが広がっている企業では、在宅勤務やリモート面接、社内の業務効率化などをすぐに取り入れることが出来ません。したがって、企業の生産性向上に歯止めがかかります。
セキュリティの脆弱化
デジタルデバイドの拡大により、ITリテラシーが低くなります。そのため、セキュリティに対する考えが甘くなります。
例えば、パスワードを使い回したり、情報流出に対する危機感の欠如などがあります。
また、デジタルデバイドが拡大している企業として有名になると、ハッカーなどからターゲットにされる可能性があります。
教育機会の制限
情報技術を利用出来ない人々は、オンライン上で提供される様々な教育サービスにアクセスできないため、学習機会が制限されます。
このような事態は、更にITスキル習得の機会を失うことにつながり、デジタルデバイドの拡大に拍車をかけます。
医療格差
遠隔医療やオンライン診療は、インターネットを利用することで医療サービスを提供することができます。
しかし、情報格差がある人々や地域では、インターネット接続環境が不十分なため、これらの医療サービスを受けることが出来ません。
また、患者が自宅で医療機器を使い、医師がオンラインで診断するサービス(テレヘルス)の利用が困難になります。
以上により、デジタルデバイドの拡大は、医療格差にも繋がります。
解決策
教育
デジタルデバイドの問題点を解決する主な方法は、情報弱者に対する教育の実施です。
企業内でのeラーニングの実施や、スキル習得する機会の提供などが必要になります。
また、高齢者に対しては、身近な人(家族など)の手助け、自治体などによる技術習得機会の提供などが必要になります。特に高齢者に対しては、情報技術のメリットを伝え、学びたいという意欲を高めることも重要です。
コミュニティの形成
コミュニティを形成することで、情報の共有や相互支援が可能になります。
たとえば、
地域イベントの開催:地域住民が集まるイベントを開催し、PCやインターネットなどの使い方をや提供
ボランティア活動の推進:学校や地域センター、NPOなどが主催し、デジタルデバイドに悩む人々を支援
オンラインコニュニティの形成:SNSや掲示板などを利用して、情報の共有や相互支援を実施
などがあります。
情報機器のリサイクル
使用しなくなった情報機器を、デジタルデバイドに悩む人々に提供します。
これにより、無料や格安で情報機器を提供することができ、操作スキル習得などの機会を増やすことが出来ます。