概要
コロナ放電とは、送電電圧が高くなり、導体表面の電位の傾きが大きくなると、導体に接する空気の絶縁が局所的に破壊され、発光や異音を伴って放電する現象をいいます。
コロナ放電が始まる電圧のしきい値を「コロナ臨界電圧」といいます。
コロナ放電が発生すると、送電効率の低下や、送電線近傍でのラジオ受信障害、あるいは騒音などの問題が発生します。
そのため、電圧の高い送電線の設計においては、コロナ放電を考慮した導体径や導体方式の選定が必要となります。
性質
①発光や異音を伴い、電線、がいし、各種金属製設備などに発生する
②細い電線、素線数の多いより線ほど発生しやすい
③晴天よりも、雨、雪、霧などのときのほうが発生しやすい
障害
コロナ損
送電線にコロナ放電が発生すると、有効電力損失が生じ、送電効率を低下させる要因となります。
晴天時及び高湿度時のコロナ損については、降水量1mm/hの時のコロナ損に対して、各々10%、20%程度となることが実験により確認されています。
コロナ雑音
送電線にコロナ放電が発生すると、送電線近傍にあるラジオ受信機や搬送波通信設備に雑音障害を与えることがあります。
コロナ雑音に含まれる周波数の範囲は、15kHz〜380MHzと広い範囲にわたります。しかし、周波数にほぼ反比例して雑音電界の強さが減少する性質を持っています。そのため、一般に問題となるのは、10MHz程度です。
AMラジオ放送では、0.5MHz〜1.5MHzで使用しているため、コロナ雑音の影響が大きくなります。
コロナ騒音
コロナ放電により直接空間に放出される可聴音のことをいいます。
一般的に、降雨時のコロナ騒音は、強雨時および軽雨時のコロナ騒音レベルで評価されていて、各々雨天時コロナ騒音レベルの5%値および50%値に対応しています。
テレビ電波障害
テレビ放送がアナログ放送時代は、送電線によってテレビ放送波が散乱され、ゴースト障害や遮へい障害を起こすことがありました。
現在は、デジタル放送となったため、送電線によるテレビ電波障害は、ほとんど発生していません。
対策
送電線側の対策
①外径の大きい鋼心アルミより線を用いる
②電線を多導体化する
③がいし装置の金具は、できるだけ突起物をなくし、丸味をもたせた構造とする
受信機側の対策
①放送出力を増強する
②共同アンテナとし、S/N比の高いところで受信した信号を分離する
③指向性のある受信アンテナを設置する