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(技術士キーワード)電磁両立性(EMC)

2023年1月3日

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概要

 JISやIEC(国際電気標準会議)で、以下のように定義されています。

定義
 装置またはシステムの存在する環境において、許容できないような電磁妨害をいかなるものに対しても与えず、かつ、その電磁環境において満足に機能するための装置またはシステムの能力

 すなわち、他の装置に影響を与えることなく、また、電磁妨害があっても影響されないことが電磁両立性といえます。

基本概念

電磁環境

定義
 ある場所に存在する電磁現象のすべて

 ある場所とは、電磁両立性が考慮される場所であり、住宅や工業地域などのことをいいます。

 電磁現象には、電磁妨害や電磁雑音の発生源となる雷や人工雑音が含まれています。

電磁雑音

定義
 時間的に変化する電磁現象の一種で、明らかに情報を伝えず、かつ、希望信号に重畳、または、結合する可能性があるもの

 自然雑音と人工雑音に分けることができます。

 また、熱雑音やシステム内雑音など、自らが発生源を有している場合もあります。

電磁妨害

定義
 機器、装置またはシステムの性能を低下させる可能性があり、あるいは、生物、無生物にかかわらずすべてのものに悪影響を及ぼす可能性のある電磁現象

 電磁現象のなかで装置の性能を低下させたり、誤作動を招く可能性のある電磁現象のことをいいます。

放射妨害

定義
 エネルギーが電磁波の状態で空間を伝搬する電磁妨害

 装置きょう体から直接放射される場合をさし、さらに電線を伝わる伝導妨害が、電線から放射される場合もあります。

伝導妨害

定義
 エネルギーが、1または2以上の個数の導体を経て伝達される電磁妨害

 放射妨害が電線に結合し誘導された結果として伝導妨害となることがあります。

電磁障害

定義
 電磁妨害によって引き起こされる装置、伝送チャネルまたはシステムの性能劣化

エミッション

定義
 ある発生源から電磁エネルギーが放出する現象

イミュニティ

定義
 電磁妨害による機器・装置またはシステムの性能低下の発生のしやすさ

自然雑音

定義
 自然現象を発生源とする電磁雑音

 雷雲や雷放電、太陽の黒点の活動に由来する磁気嵐などがこれにあたります。

人工雑音

定義
 人間によって製造された電気電子機器・装置によって生ずる電磁雑音

 高電圧機器の非完全接触箇所において生じる火花放電、遮断器の開閉動作で発生する開閉サージなどがこれにあたります。

鉄道における電磁両立性

 電磁両立性は、鉄道、電気自動車、電子医療機器など、数多くの装置で考慮すべき事項です。

 ここでは、一例として鉄道における電磁両立性を紹介します。

架空電車線、き電線、帰線などによる通信線への障害

概要

 ①パンタグラフと電車線の間の火花による電波障害

 ②大電流が流れることによる電磁誘導障害

対策

 架空電車線、き電線、帰線に対して並行に敷設される通信線について、十分に離隔をとる

電食

概要

 直流式電気鉄道はレールが帰線として使用される。

 このため、レールに接近して並行に敷設される水道管やガス管などの金属管にレールからの漏洩電流が流れ込み、電食障害が発生する。

 電食の詳細についてはこちらも参照ください。

対策

 ①帰線の電気抵抗を小さくし、電流が漏洩しにくくする

 ②電食を受けている部分の金属管を陽極にし、帰線を陰極になるように選択排流器を接続する

高周波による乗客への影響

概要

 電気鉄道は、GTOやUGBTなどのパワーエレクトロニクス技術により、インバータ制御される。

 インバータ制御では主にPWM制御に伴う高周波の電磁波が発生する。

 制御装置は電車の床下に設置されているため、電車内の乗客はこの電磁波にさらされる危険がある。

対策

 シールドアースされた厚さのある金属箱に制御装置を収納する。

 銅線は金属管に収納し防御する。




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