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(技術士キーワード)完全固体電池

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概要

 可燃性の有機電解液を不燃性の無機固体電解質に置き換えた安全性の高い電池のことをいいます。

分類

 バルク型完全固体電池薄膜型完全固体電池がある。

バルク型完全固体電池

 微粒子を積層することによって作成される。電極層に電極活物質を多量に導入することで電池容量を大きくできる。

薄膜型完全固体電池

 気相法を用いて薄膜を積層することにより、良好な電極-電解質の固体界面接合を実現している。

気相法
 気相から薄膜を製作する手法で、代表的な手法として、真空蒸着法やパルスレーザ堆積法、スパッタ法などがある。

特徴

 リチウムイオン電池(LiB)と比較した特徴は以下のとおりです。

 ①LiBの充電回数1000~1500回に比べ、完全固体電池は5~10倍の充電回数が可能

 ②2~3分で80~90%の急速充電が可能(EVに使用されているLiBは急速充電でも30分程度必要)

 ③電解質に無機固体を使用しているので、液漏れが発生しない(LiBは液漏れによる火災発生の恐れ)

課題・問題点・解決策

高出力化

問題点

 固体電解質のリチウムイオン伝導度が液体に比べて難しい

解決策

 電解液を超えるイオン伝導度の有する固体電解質(硫化物系固体電解質)の採用

安全性の確保

問題点

 稠密性の不足による正負極金属の貫通に起因する内部短絡が発生

解決策

 結晶成長方法の確立:フローティングゾーン溶融法による稠密性の向上

フローティングゾーン溶融法(FZ法)
 原料となる多結晶の試験棒の一部を加熱し、種結晶となる下部の単結晶と試料棒との間に溶融部を作り、その溶融部を表面張力によって支えながら全体を下方に移動させ、融液部を冷却して単結晶を作る方法。CZ法と異なり、石英るつぼを使わず、異物と接触しない。地球上では、重力の影響で大口径化が難しい。

今後の展望

 電動化する次世代自動車、自然エネルギー利用のスマートグリットでは、安全、高容量、低価格の蓄電デバイスが不可欠である。

 完全固体電池は、可燃性の電解液を使用しないことから、安全性に優れている。

 今後、LiBを超える高出力バッテリーの実現ができれば、これらの分野に適用されることが期待されている。





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