概要・原理
電気加熱の一種の誘導加熱の原理により加熱できる調理器のことをいいます。
超低周波数50Hzまたは60Hzの電力を、インバータで20~90kHzの波交流電流に変換します。
その電流を内部のコイルに流すと、コイルの中心から磁力線が発生します。
この磁力線により、鍋など金属製の調理器具の底にうず電流が発生するため、調理器具が持つ電気抵抗により調理器具そのものが発熱して、中身が加熱されます。
可変周波数電源を用いれば、浸透の深さを自由に調整できるため、表面だけを選択的に加熱することができます。
メリット
熱効率が高い
電磁調理器の熱効率は約90%に対し、ガスコンロの熱効率は約40〜55%です。
電磁調理器の加熱は、ガスコンロに比べて狭い範囲を温めます。そのため、効率的に加熱することが可能です。
安全性が高い
ガスコンロと違い火を使わないので、誤って触ってしまい火傷する恐れや、消し忘れによる火災の危険性が低下します。
また、高齢の方や小さい子供がいる家庭でも安心して使うことができます。
火力調整が容易
ガスコンロの火は、つまみを回してアナログ的に調整するのに対し、電磁調理器ではデジタル表示で一定の温度を維持することが容易です。
デメリット
使用用途の制限
電磁調理器の仕組み故に、対応した調理器(鍋やフライパンなど)しか使うことができません。
そのため、ガスコンロからIHに変えようと思っても、これまでの調理器が使えなくなる恐れがあります。
また、IHに対応した調理器を使わないと、発火する恐れがあります。
停電時に使用不可
電磁調理器は、電気により加熱するため、停電時に使用することができません。
雷や台風などの影響で停電した場合には、調理が不可能となりますので、カセットコンロやガスボンベなどを備えておく必要があります。
健康への影響
医療用ペースメーカなどを使用している場合、加熱時に発生する磁力線の影響を受ける可能性があります。
そのため、電磁調理器の使用時には、ペースメーカを近づけないなどの措置が必要となります。