概要
電磁現象とは、電気と磁気の相互作用で発生します。
電磁干渉や健康への被害が懸念されるため、電磁現象の解析を行い適切な対策が必要になります。
解析手法
静電場解析
電荷が静止している場合に、電荷の分布を解析する方法である。
クーロンの法則やガウスの法則を利用して、電荷の配置や周囲の物質の性質にもとづいて、電場を計算する。
一般的には、有限要素法や有限差分法などが使用される。
磁場解析
電流や磁気素子が存在する場合に、磁場の分布を解析する方法である。
アンペールの法則やファラデーの法則を利用して、電流や磁場の相互作用にもとづいて、磁場を計算する。
一般的には、有限要素法や有限差分法、有限体積法などが使用される。
電磁場解析
電荷や電流が存在する場合に、電場と磁場の相互作用を解析する方法である。
マクスウェルの方程式ともとにして、電場と磁場の時間的・空間的な変化を解析する。
一般的には、有限要素法や有限差分法、有限体積法、境界要素法などが使用される。
数値解析
有限要素法
概要
微分方程式を、近似的に解くための数値解析方法のことである。
手順
①モデルの生成
解析する領域を要素に分割し、要素の節点を定義する。
領域の形状や物性、境界条件などを設定する。
②式の設定
解析したい物理現象に応じて、微分方程式や境界条件を設定する。
③式の離散化
解析領域を有限の要素に分割し、それぞれの要素内で近似的な関数を用いて物理量を表現する。
④式の解法
離散化された式を、数値計算手法を使用して解を求める。
⑤結果の評価
解析結果を評価し、知りたい物理量を求める。
必要に応じて追加の解析や結果の後処理を行う。
特徴
①複雑な形状や非一様な物性をもつ領域などを扱うことができる。
②解析モデルの自由度を適切に設定することで、計算精度と計算時間を調整できる。
③構造力学、熱伝導、電磁現象など、多くの物理現象に適用することができる。
有限差分法
概要
微分方程式を、差分方程式として解くことで、連続的な問題を離散的な問題に変換する数値解析法である。
手順
①問題の定義
解きたい微分方程式を明確に定義する。
これには、境界条件や初期条件も含まれる。
②領域の離散化
解析領域を格子状に区切る。
領域内の各格子に座標や番号を割り当てる。
③差分近似の適用
微分方程式の微分項を差分近似に置き換える。
これにより、未知の関数値を近似的に求めることができる。
④境界条件の適用
解析領域の境界上での条件を適用する。
これにより、解を制約する。
⑤結果の評価
解析結果を評価し、知りたい物理量を求める。
必要に応じて追加の解析や結果の後処理を行う。
特徴
①高度な数学的知識を必要としない。
②非線形モデルにも適用することができる。
③時間的な変化に対しても離散化することができる。
有限体積法
概要
連続体の解析領域を、小さな制御体積に分割し、制御体積内での物理量の平均値を計算する手法である。
手順
①問題の定義
解きたい物理現象や力学的な現象を明確に定義する。
②領域の離散化
解析領域を小さな制御体積に分割する。
通常、幾何学的に単純な形状(立方体、六面体など)で表現する。
③物理量の平均化
各制御体積内での物理量を平均化する。
④保存則の適用
運動量保存則、エネルギー保存則、質量保存則など、各種保存則を適用する。
⑤差分方程式の構築
物理量の平均値や保存則を差分形式で表現し、制御体積ごとの差分方程式を立式する。
⑥境界条件の適用
解析領域の境界上での条件を適用する。
これにより、解を制約する。
⑦結果の評価
解析結果を評価し、知りたい物理量を求める。
必要に応じて追加の解析や結果の後処理を行う。
特徴
①任意の形状の制御体積を定義することができるため、複雑な領域や不規則な形状にも適用できる。
②時間ステップごとに物理量を更新することで、非定常な問題の解析が行える。
③制御体積ごとに保存則を適用することで、各種物理量が数値解析の過程で保持される。
境界要素法
概要
連続体の解析において、物体表面上での解を求める数値解析手法である。
手順
①問題の定義
解きたい物理現象や力学的な現象を明確に定義する。
②領域の分割
解析領域を内部領域と外部領域に分割する。
内部領域では有限要素法を適用し、境界領域では物体の表面上に要素を配置する。
③境界要素の設定
通常は幾何学的に単純な形状(線、面)を設定する。
④境界要素の適用
境界要素の基本的な方程式(ポアソン方程式、弾性方程式など)を境界領域上で適用する。
⑤行列方程式の構築
境界上の未知の物理量を含む行列方程式を立式する。
⑥方程式の解法
行列方程式を解くための数値解法を選択する。
一般的には直接法や反復法が用いられる。
⑦結果の評価
解析結果を評価し、知りたい物理量を求める。
必要に応じて追加の解析や結果の後処理を行う。
特徴
①内部領域の離散化が不要であり、境界条件を直接解析するため、計算コストを削減できる。
②無限領域では、境界の外部の解がほぼ一定となり、内部領域における解析が不要にできる。
③境界条件を直接取り扱うことができるので、境界条件の設定が比較的容易である。
用途
①電磁場解析
電磁波の伝搬、電磁界の分布、電磁誘導などを解析でいるので、アンテナ設計、電磁妨害の評価、電磁センサーの性能評価に利用できる。
②電磁界と物体の相互作用解析
電磁波の物体への散乱・吸収や、電磁誘導による物体の応答などを解析できるので、非破壊検査、電磁気を利用した加熱などに応用される。
③熱解析
電磁波の吸収による熱伝導や熱拡散の解析ができるので、電子デバイスの熱管理、高周波加熱の効果評価に利用できる。