原理
①励起状態:原子は外部からエネルギーを吸収すると、下準位から上準位へ移動する。
②遷移と自然放出:励起された原子は不安定な状態の為、元の準位へ戻ろうとする。この時にエネルギー(自然放出光)を放出する。
③誘導放出:自然放出光が他の励起状態にある原子に入射すると、その原子は自然放出光に刺激されて基底状態に戻る。この時にエネルギー(光)が放出され誘導放出光となる。
④光増幅:励起エネルギーを強くすると、励起状態の原子数が基底状態の原子数よりも多くなる(反転分布)。この状態で、レーザ媒質中の自然放出が進むと、誘導放出過程で光の増幅が行われる。
⑤レーザ発振:レーザ媒質を2枚の鏡で挟み、その間で光を往復させることで、光は更に増幅する。増幅された光を外部に取り出すことで、レーザ光となる。
種類
固体レーザ
レーザ媒質にイットリウム・アルミニウム、ガーネットなどの鉱石、イットリウムなどを使ったレーザのことをいいます。
単位体積あたりのレーザ出力が大きいため、共振器が小さくても大きな出力を得ることができます。
医療用(シミ・ほくろ消しなど)、金属溶接や穴あけ、切断などに用いられています。
気体レーザ
レーザ媒質に二酸化炭素などを使ったレーザのことをいいます。
レーザ媒質が均質で、損失が少なく、共振器の構造を大きく取ることができるため、大きな出力を得ることができます。
計測、ディスプレイ、機械加工、溶接、熱処理、POSレジのスキャナーなどに用いられています。
液体レーザ
レーザ媒質に色素分子を有機溶媒に溶かした有機色素を使ったレーザのことをいいます。
色素分子は広いスペクトルをもつので、幅広い波長の光を放出することができます。
理工学用、医学用などに用いられています。
半導体レーザ
レーザ媒質にⅢーⅤ族半導体、ⅣーⅥ族半導体などを使ったレーザのことをいいます。
超小型化が可能で、低い電圧と少ない電流で発光することができます。
CDやDVD、BDなどの読み込み、材料の切断、レーザ治療、光通信など幅広く用いられています。
特徴
①単色性がよい
②指向性がよい
③コヒーレント光である
④エネルギー密度が高い