概要
外部からのエネルギーにより充電し、再度放電できる電池のことをいいます。
※一度だけ放電できる電池を、「一次電池」といいます。
スマートフォンやパソコンなどの携帯機器の発展に合わせて、高性能・軽量コンパクト化が進んでいます。
鉛蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池、レドックスフロー電池などがあります。
種類と充放電のしくみ
鉛蓄電池
充電のしくみ
①充電によって、陽極に付着していた硫酸塩は、電解液中の水と反応して酸化鉛に変化する。このとき、水素が電子から引きはがされ、陽極から陰極に向かって電子が移動する。
②陰極の硫酸鉛は、陽極から流れ込んだ電子を取り込んで鉛に変化し、硫酸を電解液中に放出する。
③両極板から放出された硫酸と、陽極板から放出された水素が結合して希硫酸になる。
放電のしくみ
①負極(鉛)に希硫酸をつけると、鉛が硫酸に反応し、「酸化」が始まる。鉛は、硫酸とくっつきやすい性質があり、自らもつ電子を手放し、代わりに硫酸とくっつこうとする。鉛が硫酸にくっつくと、「硫酸鉛」という個体になり、負極に付着する。
②電解液内では、硫酸と鉛が引き合うため、硫酸濃度が下がり、水素が過剰な状態となる。
③負極から放出された電子は、電線を伝わって正極に移動する。このとき放電が発生する。正極の二酸化鉛は、電解液中の硫酸と反応して硫酸鉛となるが、負極と比べて異音になりにくい金属なので、反応は小さい
④電子が正極に移動したことで、電解液中の過剰な水素が、正極に引きつけられて電子を引き取り、水素原子となる。正極で硫酸鉛が生成されたことで、手放されていた酸素が、電解液中の水素とくっつき、水を生成する。
ニッケル・カドミウム電池
充電のしくみ
①負極では、電源からの電子供給を受け、水酸化カドミウムが金属カドミウムに変化し、水酸イオンを放出する。
②正極では、水酸イオンと電極の水酸化ニッケルが反応し、水酸化ニッケルはオキシ水酸化ニッケルに変化するとともに、水が生成され、電極に電子を供給する。
③水が発生すると、電解液は薄まり、比重が低下する。
放電のしくみ
①負極では、金属カドミウムが水と反応して水酸化カドミウムに変化するとともに、電極に電子を供給する。
②正極では、電極から供給された電子を使って、オキシ水素ニッケルが水酸化ニッケルに変化し、水酸イオンを放出する。
③放電によって水が消費されるので、電解液中の比重が増加する。
ニッケル・水素電池
充電のしくみ
①負極では、電極の触媒作用により、水を水素イオンと水酸イオンに分解する。水素イオンは、電極から与えられた電子を受け取って水素原子となり、電極である水素吸蔵合金に蓄えられる。
②正極では、水酸イオンと電極の水酸化ニッケルが反応して、水酸化ニッケルはオキシ水酸化ニッケルに変化するとともに、水が生成され電極に電子を供給する。
放電のしくみ
①負極では、電極に蓄えられている水素原子と水酸イオンが、電極の触媒作用によってする。そして、水に変化するとともに電極に電子を供給する。
②正極では電極から電子を受け取り、水とオキシ水酸化ニッケルが反応して水酸化ニッケルと水酸イオンが生成される。
リチウムイオン電池
充電のしくみ
外部の電源により、正極のリチウム金属酸化物からリチウムイオンが電解液に溶け出し、負極の炭素層間に移動する。
放電のしくみ
負極の炭素層間からリチウムイオンが電解液中に溶け出し、正極のリチウム金属酸化物層に移動する。
ナトリウム硫黄電池(NAS電池)
充電のしくみ
①外部から電圧が加わると、正極の多硫化ナトリウムはナトリウムイオン、硫黄、電子に分かれる。
②ナトリウムイオンは固体電解質を通過して負極に移動する。
③ナトリウムイオンは負極で電子を受け取ってナトリウムに戻る。
放電のしくみ
①負極のナトリウム(Na)が電子を放出してナトリウムイオンになり、固体電解質を通過して正極に移動する。
②正極の硫黄が外部回路からの電子でナトリウムイオンと化学反応し、多硫化ナトリウムに変化する。
③負極のナトリウムは消費されて減少する。
レドックスフロー電池
充放電のしくみ
バナジウムは2価から5価までの価数を取ることができる。
正極側
VO2+(4価)+H2O⇔VO2+(5価)+2H++e-
負極側
V3+(3価)+e-⇔V2+(2価)
※ ⇒は充電時の反応、⇐は放電時の反応。
代表的な二次電池の比較
鉛蓄電池 | ニッケル・カドミウム電池 | リチウムイオン電池 | |
正極材料 | 鉛(二酸化鉛) | ニッケル | リチウム化合物 |
負極材料 | 鉛(海綿状鉛) | カドミウム | 炭素材 |
電解液 | 希硫酸 | 水酸化カリウム | 有機溶媒 |
公称電圧 | 1.8〜2.0V | 1.2V | 3.2〜4.0V |
充電回数 | 400〜1000回 | 500回以上 | 1000回以上 |
用途例 | 自動車 無停電電源装置 | 電動工具 おもちゃなどのモータ | スマートフォン ノートPC 電気自動車 |