概要
一般的に、SiC半導体、GaN半導体を用いたデバイスを次世代パワー半導体といいます。
これらの半導体は、Siに比べてバンドギャップが広いため、ワイドギャップ半導体とも呼ばれています。
また、
①電子飽和速度が高いため、高速スイッチングが可能
②熱伝導率が高いため、高温領域(約200℃以上)で動作が可能
③絶縁破壊電圧が高いため、高電圧領域での動作が可能
といった特徴があります。
SiC半導体
Si(シリコン):50%、C(炭素):50%からなるⅣ-Ⅳ族化合物半導体であり、高耐圧・低損失のパワーデバイス用材料として注目されています。
多くのSiCタイプのうち、4H形のSiCタイプがデバイス応用に最も有望であると考えられており、開発が進められています。
4Hとは、炭素原子が4周期で六方晶をなす結晶構造のことをいいます。
GaN半導体
Ga(ガリウム)と窒素(N)の化合物を用いた半導体(化合物半導体)です。
Siベースのパワー半導体よりも大きな電力を扱うことができます。
物性値の比較
Si、SiC(4H)、GaNの物性値を以下に示します。
項目 | Si | SiC | GaN |
バンドギャップ[eV] | 1.12 | 3.26 | 3.39 |
飽和速度[cm/s] | 1.0×107 | 2.2×107 | 2.7×107 |
絶縁破壊電界[MV/cm] | 0.3 | 2.8 | 3.3 |
熱伝導率[W/(cmK)] | 1.5 | 4.9 | 2.0 |
問題点
①原子間の結合が強いため、融点が高く合成するのが難しく、結晶成長が困難
→種結晶、下地基板の改良、結晶成長条件の最適化、結晶成長装置の改良
②接合材料には、スズ・銀系の鉛フリーハンダを用いているが、この固相線温度は250℃以下であり、SiCやGaN半導体の高温動作に適していない
→銀燃結材の採用。
③低温から高温まで幅広い温度で使用する場合、熱膨張係数の違いにより、材料にクラックが発生し、破損する恐れがある
→熱膨張係数の近い材料の選定