概要
マイクログリッドとは、商用系統から独立して運転可能な小規模な系統であり、ICTを活用した監視・制御を行うことで、安定した電力・熱を供給するシステムのことをいいます。
つまり、消費者の近くに小規模な発電施設を設置し分散型電源をICT技術で監視・制御することで、安定的に電力を供給する仕組みです。
構成
一般的には、以下の設備、システムで構成されます。
①電力負荷、熱負荷
②電力源、熱源(コージェネレーションシステム、再生可能エネルギーなど)
③電力貯蔵装置、熱貯蔵装置
④電力、熱供給設備
⑤これらを監視・制御するシステム
通常は商用系統と連携していますが、自立運転を可能とする場合もあります。
運用・制御機能例
分散型電源制御
長期の需要予測に基づき、複数の分散型電源に対して、経済性、応答速度などを考慮した適切な需給計画、負荷配分と制御が行われる。
潮流制御
商用系統との連携において、潮流を一定に保つ機能を有する。
例えば、再生可能エネルギーの変動や負荷変動を予測し、他の発電機、蓄電池などで吸収する需給計画、需給制御機能により潮流を一定制御する。
自立運転
商用系統が停電したときに、自立運転の機能を有する、
その際、電圧、周波数の安定化制御、系統再閉入時の自動復帰運転などを行う。
保護機能
短絡、地絡事故などに対する保護機能を有する。
構築目的
①電力信頼度や電力品質の維持
②建設コストや建設期間の短縮
③燃料コストの低減
④環境負荷の低減
課題・問題点・解決策
系統の安定化
供給が需要を上回ると、余剰電力が電力設備へ逆潮流する。
そこで、①スマートメータ導入による現地データの取得、②現地データによる電圧調整器の自動制御を行う。
セキュリティ確保
ネットワークを利用してデータの通信を行うため、ウィルスや不正サクセスが発生する恐れがある。
データの暗号化、データセンターとの接続点にファイアウォールの多段構成による防御、アクセス認証などのセキュリティ対策を行う。
安定した電力供給
再生可能エネルギー出力は気象条件により変動する。
電力貯蔵設備(蓄電池、揚水など)で余剰電力を吸収し、ピーク時に使用する(ピークシフト)。
今後の展望
太陽光発電、風力発電などの再生可能エネルギーは天候に影響されて発電量が不規則的に変化する。
このエネルギーを効率的に利用しながら、安定した電力供給は、低炭素化社会の実現に向けて重要である。
電力網と情報通信網を組み合わせたマイクログリッドの普及拡大はそれを可能とすることができ、注目されている。