技術士二次試験の筆記試験が終わると、しばらく試験から離れたくなる方も多いと思います。
長期間の勉強を終えた直後なので、まずは休むことも大切です。
一方で、試験当日の記憶は時間とともに薄れていきます。特に、問題文の内容、自分が書いた答案、時間配分、判断に迷った点などは、数日たつだけでも思い出しにくくなります。
筆記試験後は、結果を予想して一喜一憂するよりも、記憶が残っているうちに必要な情報を整理し、次の口頭試験や今後の学習に備えることが大切です。
このページでは、技術士二次試験の筆記試験後にやっておきたいことを、順番に整理します。
筆記試験後にやること
筆記試験後は、次の順番で進めると整理しやすくなります。
- 試験問題と当日の状況を記録する
- 再現答案を作成する
- 答案の振り返りを行う
- 受験申込書と業務経歴を見直す
- 口頭試験に向けた準備を始める
すべてを試験当日に終わらせる必要はありません。
ただし、問題文や答案の内容は忘れやすいため、再現答案に関する作業は、できるだけ早めに行うことをおすすめします。
1.試験問題と当日の状況を記録する
まずは、試験当日の状況を簡単に記録します。
記録しておきたい内容は、次のとおりです。
- 選択した問題
- 問題文で問われていた内容
- 答案に書いた主な見出し
- 課題や解決策として書いた内容
- 時間配分
- 書き切れなかった箇所
- 判断に迷った箇所
- 見直し時間を確保できたか
- 試験中に感じた反省点
問題冊子を持ち帰れる場合は、書き込みも含めて保管しておきましょう。
問題文を正確に残しておくと、再現答案の作成や口頭試験対策、次年度の振り返りに役立ちます。
2.再現答案を早めに作成する
再現答案とは、試験本番で書いた内容を、記憶をもとに再現した答案です。
完全に同じ文章を再現する必要はありません。
まずは、次の内容を思い出せる範囲で書き出します。
- 見出し
- 各設問で書いた内容
- 課題として挙げた項目
- 最も重要な課題
- 解決策
- リスクと対応策
- 技術者倫理
- 社会の持続可能性
- 選択科目Ⅱ-1で記述した専門知識
- 選択科目Ⅱ-2で記述した業務の進め方
- 選択科目Ⅲで記述した課題と解決策
文章を一字一句再現しようとすると、作業が進まなくなることがあります。
最初は見出しと要点だけを書き、その後、思い出せる部分を補足していく方法がおすすめです。
再現答案を早めに作る理由
再現答案を作る目的は、合否を正確に予想することだけではありません。
主な目的は次のとおりです。
- 自分が何を書いたかを残す
- 設問に対応できていたか確認する
- 不足していた知識や説明を整理する
- 口頭試験で聞かれそうな点を把握する
- 次年度に受験する場合の改善材料にする
試験直後は覚えているつもりでも、数日たつと、見出しや説明の順番が曖昧になっていきます。
完成度にこだわりすぎず、まずは記録として残すことを優先しましょう。
3.再現答案を振り返る
再現答案を作成したら、設問ごとに振り返ります。
この段階では、書き直して理想的な答案にするよりも、本番で書いた内容をできるだけ客観的に確認することが大切です。
設問に対応できているか
最初に確認したいのは、設問で求められた内容をすべて書けているかです。
例えば、次の点を確認します。
- 複数の課題を挙げているか
- 最も重要な課題を明確にしているか
- 課題と解決策が対応しているか
- 新たに生じるリスクを書いているか
- リスクへの対応策を書いているか
- 技術者倫理の観点を書いているか
- 社会の持続可能性について書いているか
専門知識が正しくても、設問で指定された内容が抜けていると、評価されにくくなります。
課題と解決策が対応しているか
課題と解決策の関係も重要です。
課題として挙げた内容と、解決策として書いた内容がずれていないか確認します。
解決策では、単に対策を並べるだけでなく、次の点まで書けているかを振り返ります。
- 何を行うのか
- どのように行うのか
- なぜ行うのか
- どのような効果があるのか
- 実施時の留意点は何か
専門性と具体性があるか
一般的な内容だけで終わっていないかも確認します。
技術士二次試験では、受験する技術部門や選択科目に応じた専門性が求められます。
自分の答案に、専門用語、具体的な手法、評価指標、関係者との調整方法などが含まれていたか振り返りましょう。
4.時間配分を振り返る
答案の内容だけでなく、時間の使い方も記録しておきます。
確認する項目は次のとおりです。
- 問題選択に何分かかったか
- 骨子作成に何分使ったか
- 各答案を書き終えた時刻
- 書き切れなかった問題があったか
- 見直し時間を取れたか
- 予定していた時間配分との差
時間が足りなかった場合は、単に「書くのが遅かった」と考えるだけでなく、どこに時間を使いすぎたかを確認します。
例えば、次のような原因があります。
- 問題選択に時間をかけすぎた
- 骨子を細かく作りすぎた
- 一つの設問を詳しく書きすぎた
- 同じ内容を繰り返した
- 文章を考えながら書き直した
- 見出しと内容が途中でずれた
原因を具体的に残しておくと、口頭試験や次年度の学習だけでなく、今後の文章作成にも役立ちます。
5.受験申込書と業務経歴を見直す
筆記試験が終わったら、受験申込書の内容も見直しておきましょう。
口頭試験では、受験申込書に記載した業務経歴や業務内容の詳細をもとに質問されることがあります。
確認しておきたい内容は次のとおりです。
- これまでの業務経歴
- 技術者としての役割
- 業務上の課題
- 自分が行った技術的な判断
- 関係者との調整
- 成果
- 反省点
- 技術者倫理への配慮
- 継続研さんの内容
受験申込書を作成してから数か月たっているため、記載内容を細かく覚えていないこともあります。
まずは提出した受験申込書を読み直し、自分の言葉で説明できるか確認しましょう。
6.口頭試験対策を始める時期
筆記試験が終わった直後から、毎日長時間の口頭試験対策を行う必要はありません。
ただし、筆記試験の結果が出てから準備を始めると、十分な時間を確保しにくくなることがあります。
筆記試験後から合格発表までの期間は、少しずつ準備を進める期間として活用できます。
筆記試験直後
まずは次の作業を行います。
- 再現答案の作成
- 試験問題の整理
- 受験申込書の見直し
- 業務経歴の整理
合格発表まで
無理のない範囲で、次の準備を進めます。
- 業務経歴を自分の言葉で説明する
- 業務内容の詳細を整理する
- 筆記答案で書いた内容を説明できるようにする
- 技術士に求められる資質能力を確認する
- 技術者倫理について整理する
- 継続研さんの実績を整理する
筆記試験合格後
合格が確認できたら、想定質問への回答練習や模擬面接を本格化します。
- 受験申込書に関する質問
- 業務経歴に関する質問
- 筆記試験答案に関する質問
- 技術者倫理に関する質問
- 継続研さんに関する質問
- 技術士としての将来像に関する質問
口頭試験では、文章を暗記するよりも、自分の経験や考えを相手に分かりやすく説明する練習が大切です。
7.合格発表までにできること
合格発表までの期間は、結果が分からず落ち着かない時期でもあります。
すぐに本格的な勉強へ戻る必要はありませんが、次の作業は進めておくと安心です。
- 再現答案を保存する
- 試験当日の振り返りをまとめる
- 受験申込書を読み直す
- 業務経歴を時系列で整理する
- 代表的な業務を一つ選んで説明を作る
- 技術者倫理綱領を確認する
- 最近の継続研さんを整理する
- 口頭試験の流れを確認する
筆記試験後に一度完全に離れてしまうと、合格発表後に思い出す作業から始めることになります。
週に一度程度でもよいので、少しずつ準備を続けると、その後の負担を減らせます。
8.再現答案の添削を受ける場合
再現答案を作成したものの、自分では評価しにくい場合は、第三者に確認してもらう方法もあります。
確認してもらうことで、次の点を整理しやすくなります。
- 設問に対応できているか
- 課題と解決策がつながっているか
- 専門性が伝わるか
- 説明が一般論にとどまっていないか
- 口頭試験で確認されそうな点は何か
- 次年度に向けて改善すべき点は何か
ただし、再現答案は本番の答案と完全には一致しません。
そのため、合否を断定するものではなく、振り返りや今後の準備のために活用することが大切です。
9.模擬面接を活用する
口頭試験では、知識があるだけでなく、質問に対して短時間で整理して答える力が必要です。
頭の中では答えられるつもりでも、実際に声に出すと、説明が長くなったり、結論が分かりにくくなったりすることがあります。
模擬面接では、次の点を確認できます。
- 質問に対して結論から答えられるか
- 回答が長くなりすぎていないか
- 業務上の役割が明確か
- 自分が行った判断や工夫を説明できるか
- 技術者倫理について説明できるか
- 質問の意図からずれていないか
本格的な模擬面接は、筆記試験の合格発表後でも構いません。
ただし、その前に業務経歴や受験申込書の内容を声に出して説明する練習を始めておくと、準備が進めやすくなります。
まとめ
技術士二次試験の筆記試験後は、まず休むことも大切です。
そのうえで、記憶が残っているうちに、次の内容を整理しておきましょう。
- 試験問題と当日の状況を記録する
- 再現答案を作成する
- 設問への対応や時間配分を振り返る
- 受験申込書と業務経歴を見直す
- 口頭試験に向けた準備を少しずつ始める
特に再現答案は、時間がたつほど作りにくくなります。
完成度にこだわりすぎず、まずは見出しと要点だけでも残しておきましょう。
筆記試験の結果が出るまでの期間を、ただ待つ時間にするのではなく、負担にならない範囲で次の準備につなげることが大切です。